きょうのできごと。

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2017-04

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『 風神秘抄 』

風神秘抄 荻原規子 徳間書店

 平安末期、源氏の御曹司・義平が首打たれた六条河原で、死者の魂鎮めの舞を舞う少女・糸世と 主君を悼む少年・草十郎が出会った。糸世の舞が生み出す清浄な空間に共鳴し笛の音を添わす草十郎。惹かれあう二人の生み出す音拍の共鳴が世界を紡ぐ音律に影響を与え、未来を変える力を持ちうることに気付いたのは、糸世だけだった。
 その力を用いて源頼朝の未来を死罪から流刑へと替えたことにより、時の上皇に目をかけられた二人は上皇の延命祈願の為に再び舞と笛を合わせる事となる。しかし、祈願が成就し未来が変わったことを予感した矢先、奉納舞の最中に糸世の姿が舞台から忽然と掻き消えた。上皇は糸世が贄として神の許に召されたのだというが――。
 異界の狭間へと消えてしまった糸世を現世に呼び戻すため、草十郎のあてどない旅が始まった……。

 

 なんか微妙に色々な事を取り落としている粗筋ですが、まぁそんなお話し。
 戦に破れ落ち延びていく源氏の郎党の姿が純粋に歴史小説らしかったけれど、違和感無く途中からファンタジーになってました。主人公の性質の所為か、なんとなく全体的に淡白に感じられる物語だけど、後でまた読み返してみたいと思う小説です。
 読んでいて文章がイメージとして頭の中に浮かぶ点も好き。

 話の主軸に存在するのは、腕はたつけど人馴れせずに無口で無愛想な少年・草十郎。母の形見である笛を無心に吹き鳴らす時、その音色を聞きに鳥や獣たちが集まってくる。本人はそれと意識してないが、彼は音拍にたいして類稀なる天賦の才を持っている。また、何故か「鳥彦王」と名乗る烏と言葉を交わすことができた。
 草十郎と並び立つのが、鳥たちの王者・鳥彦王(現在王位継承のため修行中)と、舞姫の糸世。草十郎と糸世の恋愛物と云うよりは、むしろ草十郎と鳥彦王の友情物+成長物語って感じですが。
 また、彼等を支えたり見守ったり横槍入れたりと、物語りを盛り上げてくれる面々も魅力的な人物が多いです。鳥彦王の許婚三羽烏とか好きだなぁ。結局、鳥彦王は誰を嫁にしたんだろう…。正蔵にももっと活躍の場が欲しかったなぁ。最後にまた出てきてくれたら嬉しかったんだけど。


以下、ネタばれ含む感想は…  
 
 実は一回読み終わってだいぶ経つんですが(^^;) 印象に残っているシーンは2つ。どちらも草十郎の登場シーンでした。
 1つ目は、吉野から奥駆けの途中に日満に会いに立ち寄った時。2つ目は、河原にさ迷い出た上皇の前に姿を現わした時。どちらも、気配を感じさせもせずに次の瞬間には彼等の横に静かに立っている草十郎。元々静かな性質だけど、終盤に近付くにつれてだんだん神掛かって来る様子にちょっと鳥肌が立ちます。

 明るい面で記憶に残るのは、やっぱり草十郎と鳥彦王の関係。ってか、鳥彦王のヤンチャで元気で面倒見が良くて偉そうな態度が可愛らしい(笑) 何気に鳥達の世界の事を聞いていて、なるほどそうだったかと納得することも多々有ります。

 この物語、必然の流れを変えて何かを手に入れるためには何かを代償として贖う必要がある、と云う「獲得と喪失」のテーマがあると思うんですが……
 自分の延命の為に草十郎と糸世の力を利用した上皇は、自分の寿命と引き換えに身内の寿命を食らい、糸世を取り戻した草十郎は、鳥彦王と繋がる力を失った訳だけど、――さて、それでは死罪が流刑に転じて命を救われた頼朝は何を犠牲にしたんだろうかと云う気もします。(義経達の存在は考えないとして…)源一党は彼の運命より先に滅んでいる訳ですから。草十郎と糸世が勝手にしたことだから彼には代償が求められていないんだろうか。
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