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2017-10

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『 月神シリーズ 』1?4巻

「月神の統べる森で」
「地の掟 月のまなざし」
「天地のはざま」
「月冠の巫王」

月神シリーズ(1?4巻) たつみや章・講談社

 縄文から弥生に時代が移ろおうとしていた頃のこと。
 月の神を奉じ神々が宿る自然を敬い拝して生きてきたムラの人々と、日の神を崇め己が利の為に自然を蹂躙してゆくクニの人々。言葉も思想も異にした文明が出会い対立し、やがて激烈な戦いの渦が巻き起こる。騒乱の続く世に平和はもたらされるか?
 ムラの若き長アテルイと月神の地上の息子である巫者のシクイルケは、"ヒメカ"のクニとの諍いの過程で二人の少年に出会う事となった。
 ひとりは、人の姿をしたカムイ(神)に育てられた少年、ポイシュマ。ひとりは、"ヒメカ"の将来の「ヒコ」(王様みたいなもの)でありながら、ヒメカの女王に疎まれた少年、ワカヒコ。彼らは数奇な宿命を負った時代を導く「星の子」だった。


 日本神話で殆ど語られる事が無い《月の神》について、かつてこんな信仰があったのではないかと作者が紡ぎ出した、月の神の民たちの物語。
 ムラの人々は自然に宿る神々を敬い愛し調和を以って生をおくる。足るを知る生活っていうのかな? なんとなく、読めば読むほどアイヌ民族のイメージです。純粋で素直に正直に育っているポイシュマがただただ愛しい。自分が生きる為に命を分けてもらうため、あらゆるモノに折々に触れて感謝を捧げるその姿は、現代ではかなり失われているもののように思います。あそこまで様々に感謝を捧げられるかと云えば、いや、私は無理だろう…とか思いますが。でも、いつも感謝する気持ちを忘れず心に留めておく事が大切なのだと、彼らの暮らし振りを見ていると思います。。
 クニの人々は他者を制圧し自然を自らの利の為に蹂躙している。いずれそれは自分に返ってくると思うのだけれど…他者を――自分たち以外の価値観や思想を――認めて受け入れられる懐の深さがないものは、やがて自らを蝕むことに気付かない。

 ポイシュマとワカヒコの友情とそれぞれの成長が巻を追うにしたがって深まり、様々なクニやムラの存在が明らかになるとともに騒乱と平和に向けて絡み合い、様々な出来事を内包して大団円に向かう筋立てに圧倒されます。
 彼らはそれからどうなるんだろう?と気になって仕方なく、一日一冊一気読みでした。良い物語だったなぁ(^^)

 後で調べてみたら、月神シリーズの外伝があるらしい。これまた嬉しい。早速借りてきたけれど、いまの感想を忘れるといけないので、先に書いてから読もうと思います。

そんな訳で、以下ネタばれ含みます。  
 
 色んなエピソードがあるけれど、一番心に残ったのはシクイルケがモノたちの魂の鎮めと穢れを引き受け、ポイシュマとの会話を最後に声を持たぬカムイとなる別れの場面でした。ポイシュマの気持ちになるととても切ない。そして、シクイルケの選んだ行動がただ静かで気高く美しい思いから出ているのがマザマザと解って、なんというのか…切ないけれど優しい気持ちになります。シクイルケがただただ尊く慕わしい。人の身のシクイルケが亡くなった時の、アテルイの嘆きの深さが今更ながらに身にしみます。あぁ、こんな人物を失ったんだ…と。読者の私は「人の身のシクイルケ」より「カムイとなってからのシクイルケ」との付き合いがながくなるので、1巻の半ばで早々に亡くなった時点ではまだ其処まで感情移入出来なかったんだなぁと思います。あの辺りは少年2人の思考に振り回されていたからなぁ(^^;)
 印象的といえば、モノたちが集まり顕現した大蛇に飛び乗って櫓壁に向かっていくときの、ワカヒコをして「あれではまるで「悪しき魔物」だ」と言わしめた赤い眼をしたポイシュマかな。助けようとしていたムラの人達の前に姿を見せた時だけ、また元の翡翠色の眼に戻ってて、本当に自分の意志でそうしているんだなぁ、それだけの力を身につけたんだなぁと感慨深かったです。…それでもやっぱりポイシュマにはポイシュマの弱さがあって、それ故モノたちの悪しき思念を抑えきれなくて、それがシクイルケのカムイとの別れに結びつく。ぴしゃりと叱り飛ばしてくれるシクイルケの毅さと優しさが嬉しい。彼は本当に見守り導く月のような存在ですね。シクイルケは本当に面倒見が良いというか…あぁ、ひそかにシクイルケとポイシュマの父である"輝く尾を持つ星の神"との別れの場面も好きです。
 父神からも認められ"オオモノヌシ"と真名をいただいたポイシュマ。そのまんま生き神になるのかと思いきや、立場的には巫者のようで。それじゃあ…やっぱりシクイルケのように人の身の死を以って神となるのかな。物語の結びで緩やかに時代と信仰の続いていくさまが語られてるので、これもまた嬉しかったです。
ポイシュマの死後、彼はオオモノヌシとして、もうひとりのオオモノヌシであるシクイルケと一緒に居るのかな?
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